【考察】
1.フローパーソナリティについて
1-3.自己知覚について
1-3-4.自己知覚と疎外感について
自己知覚と疎外感の関係性を明らかにするため,二つの尺度同士でPearsonの積率相関係数を算出した(Table13参照)。その結果,孤独感,空虚感,自己嫌悪感においてマイナスの自己評価と相関が見られた。これはCsikszentmihalyi & Graef(1975a)の調査結果と同様であった。このように見ると,疎外感と負の相関が多く見られた社交的活動において,自己知覚がプラスに捉えられやすいという結果はもっともである。むしろ,疎外感と自己知覚との関係性がマイナスに出ていながら,それぞれについて逆の結果を示した先行研究に疑問を呈さねばならないかもしれない。本研究だけでは,身体的活動と社交的活動の捉え方が文化的価値観の違いによるものなのか,先行研究自体に問題があったのか,どちらなのか判断を下すのは難しい。そのため,改めて欧米諸国で同様の調査をする必要があるだろう。いずれにしても,本研究ではフローパーソナリティと疎外感,自己知覚との関係性が明白に存在するとまでは言えなかった。
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