【考察】
1.フローパーソナリティについて
1-3.自己知覚について
1-3-3.自己知覚と実際の活動経験の関連について
活動の種類に関係なく実際の活動経験と自己知覚の関係性を明らかにするため,ESM調査で得た活動での経験の質と自己知覚においてPearsonの積率相関係数を算出した(Table12参照)。その結果,充実度,満足度,楽しさにおいてプラスの自己評価,他者無意識とマイナスの自己評価について多くの相関が見られた。これは,活動でポジティブな経験(充実・満足・楽しさ)をするほど自己をプラスに評価しやすいということである。つまり,活動の種類に関係なく活動でポジティブな経験をすることが自己知覚をプラスに評価する上で重要となる可能性を示した。また,他者無意識とマイナスの自己評価に相関が見られたことより,活動中に他者を意識しているほど自己をプラスに評価し,他者を意識していないほど自己をマイナスに評価することが明らかとなった。これは,先ほどの日本人の価値観を裏付けるものとなるだろう。日本人は他者を意識することで協調性が芽生え安心感が生まれると考えられる。そのため,他者を意識しやすい社交的活動,社交的フローにおいて自己をプラスに評価しやすいといえる。
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