【問題と目的】
5.本研究の目的
Csikszentmihalyi & Graef(1975a)の調査では,身体運動的活動と社交的活動,どちらかの活動を多く報告している人は,もう一方の活動をほとんど報告していなかった。つまり,どちらかのフローを経験しやすい人は,もう一方のフローはほとんど経験していないことになる。しかし,人は日常生活を送る上で,身体運動的活動も行えば,社交的活動も行っている。どちらか一方しか行っていないということはない。そのため,本研究では日常生活で取り組む活動種類の割合や,身体運動的領域と社交的領域は互い排除しているのか,について明らかにし,フロー体験とその時のフローに関する主観的な認知が対応しているかについて検討していくことを第一の目的とする。
そして,これまでのフロー研究において,フローパーソナリティとして,フローを経験しやすいAP者とフローを経験しづらいNP者の特性や違いについてしか焦点が当てられていない。しかし,マイクロフローには型があり,どの活動でフローに入りやすいのか,どの活動を多く行っているのかには個人差がある。そのため,フローへ入りやすいといった特性だけでなく,どの領域に価値を見出しやすいのかといった特性(K-AP者/S-AP者/KS-AP者)でAP者の分類を行うことを第二の目的とする。そして,フローパーソナリティがどの活動に参加を促しているのか,またフローパーソナリティと活動の種類の関係性,すなわち,フローパーソナリティがある活動においてフローに入りやすくしているのか,について検討していく。
また,佐橋(2003)は,できるかぎり多くの経験場面をフロー化することが,生活全般の質,well-being向上につながると述べていることから,フローの種類やパーソナリティと心理的well-beingの関係を明らかにすることを第三の目的とする。
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