全体要約
本研究は, 人生において最も後悔した非行為後悔と行為後悔に関して, 後悔を感じ始めた直後にどのような気そらしと反すうを行い, そして, 後悔を感じてから数週間以上経過後にどのように反すうを行うことが, 外傷後成長を遂げることや後悔の低減に繋がるかを検討することを目的とした.
18歳以上の方を対象としたインターネット上の質問調査を行った. 1年以上前の出来事を想起させた. 後悔を感じてから行った気そらし, 反すうや, 後悔によって遂げた外傷後成長に関する質問を行った. その他, 外傷後成長以外に後悔によってどのような成長を遂げることが有り得るかを検討するために, 後悔から得た気づきや, 後悔の活かし方に関する記述を求めた.
その結果, 合理化されにくいことが指摘されている非行為後悔については, 後悔した直後は気分転換的気そらしを行い, 抑うつを低減させながら意図的熟考を行い, 後悔を感じ始めてから数週間以上経過後(以降, この期間を“外傷後成長前”と表記する)の意図的熟考に繋げることで, 外傷後成長を遂げたり, 後悔を低減させられることが明らかになった. 一方, 合理化されやすいことが指摘されている行為後悔については, 後悔を感じてから後悔を低減させたり, 外傷後成長を遂げるまでの期間が短期間であることが推察され, 後悔直後から意図的熟考を行うことで外傷後成長を遂げたり, 後悔を低減させたりすることができるということが明らかになった.
また, 後悔を感じた事による気づき・教訓や変化については, 適応的諦観, アレキシサイミア, 自己抑制型行動などが見られた. 抑うつの低減と関連があることが明らかにされている変化や, 問題解決に繋げられる変化を遂げることが適応的であろう. また, 例えば, “自分が何かを教えたり, アドバイスした相手が成功を収めたときに感じる誇らしい感情”を感じやすい者であれば, 自分ではやり直すことが出来ない後悔の内容を他者に伝え, 他者に活かされることで誇らしい感情が得られるようにするなど, 後悔を感じた当人の特性や後悔の種類に合わせて適応的になれるように促すことも重要であろう.
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