1.全体概要


 本研究の目的は,日常場面とゲーム場面の欺瞞行為に対する許容度の違いに着目することで,「ゲーム場面そのもの」の特性について検討し明らかにすることである.
 場面(ゲーム場面と日常場面)と欺瞞行為の種類(見栄欺瞞,危害欺瞞,潤滑欺瞞,謙遜欺瞞)を独立変数とし,好感度,信頼度,報復度,悪質度,許容度を従属変数とした2×4の2要因分散分析を行った.その結果,5つ全ての従属変数において,欺瞞行為の種類の主効果があることが明らかとなった.つまり,日常場面とゲーム場面,どちらの場面であるかどうかに関係なく,先行研究で指摘されている通り,欺瞞行為の種類によって相手に対する認識や欺瞞行為そのものの評価が異なることが明らかになった.
 また,好感度,信頼度,悪質度,許容度において交互作用が見られた.単純主効果の検定の結果,危害欺瞞と潤滑欺瞞において有意差が見られた.危害欺瞞は日常場面よりゲーム場面の方が,好感度・信頼度・許容度が有意に高くなり,悪質度は有意に低くなることが明らかになった.潤滑欺瞞は日常場面よりゲーム場面の方が,好感度・信頼度・許容度が有意に低くなることが明らかになった.見栄欺瞞,謙遜欺瞞については有意差は見られなかった.そのため,まずは有意差が見られた危害欺瞞と潤滑欺瞞に着目して考察を行い,従属変数の中で唯一交互作用が見られなかった
「報復度」についての考察を行う.そして最後に,有意差が見られなかった見栄欺瞞・謙遜欺瞞についての解釈検討を行う.



next