2.危害欺瞞に関する考察
危害欺瞞に関して単純主効果の検定より,日常場面よりゲーム場面の方が,欺瞞行為を行った相手に対する好感度と信頼度,欺瞞行為そのものに対する許容度が有意に高く,欺瞞行為そのものの悪質度が有意に低くなることが示された.
そのため,日常場面において許容されにくいとされる,相手に害を加えるような欺瞞行為であったとしても,ゲーム場面は日常場面より欺瞞行為を行った相手に対してより好感的・信頼的に感じ,欺瞞行為そのものも悪質だとは感じにくくなり,欺瞞行為を許容しやすくなる場面であることが明らかとなった.このことは,Grayら(2011)の「普段の生活であれば不自然な,無礼でさえあるような行動を取ってもよい特別な場」という主張とも一致しており,日常とゲームが切り離されたものであることを実証的に明らかにすることができたといえるだろう.
またRosewater(2018)はゲーム内で起こったことは,現実的な意味を持たないため,ゲーム場面の出来事が日常生活へと影響を及ぼすようなことは起こらないと指摘している.そのことからも,ゲーム場面での危害欺瞞は,その影響が日常生活まで波及しないことから実害を感じにくくなり,日常場面より肯定的に捉えられるようになることが考えられる.
以上より,ゲーム場面は日常場面とは「害」に対する捉え方に違いがあることが考えらえる.
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