6. 多母集団同時分析による検討


次に修正したモデルを用い,性別による多母集団同時分析を行いそれぞれの因果モデルを構成した。適合度指標はGFI=.949, AGFI=.888, CFI=.992, RMSEA=.019 となり十分な適合度であると判断した。修正したモデルをFigure4, Figure5として以下に示す。

 6-1. 親への愛着から多次元共感性への影響
男女ともに「母親愛着不安」から「視点取得」(男 β = −.32, p < .01 女 β = −.34, p < .001),「父親愛着不安」から「他者指向的反応」(男 β = −.25, p < .01 女β = −.29, p < .001)に負の影響を与えていた。 また,女性においてのみ「母親愛着不安」から「自己指向的反応」(β = .20, p < .05)に,「母親愛着回避」から「他者指向的反応」「想像性」(順にβ = −.24, p <.01 ; β = −.14, p < .10)に,有意な負の影響を与えていた。

6-2..多次元共感性から愛他行動への影響
男女ともに「他者指向的反応」から「心理的援助」(男 β = .56, p < .001 女 β = .48, p < .001)「不干渉」(男 β = .22, p < .10 女 β = .21, p < .05)に正の影響を与えていた。男性においてのみ「視点取得」から「日常的援助」(β = .22, p < .10)に有意な正の影響を与えていた。また,女性においてのみ「他者指向的反応」から「日常的援助」(β = .25, p < .01),「視点取得」から「心理的援助」「不干渉」(順に β = .15, p < .10 ; β = .23, p < .05),「自己指向的反応」から「日常的支援」(β = .22, p < .01)に正の影響を与えており,この差は有意であった(z = 2.33, p < .05)。

 5-3. 親への愛着から愛他行動への影響
女性においてのみ「母親愛着不安」から「不干渉」(β= .18, p < .05)に有意な正の影響を与えていた。

  





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