5. 共分散構造分析による検討
多次元共感性の下位尺度の誤差の間と愛他行動の下位尺度の誤差の間に有意な正の相関がみられた。また,親への愛着の各下位尺度間でも有意な正の相関がみられた。各下位尺度からの影響をみるために,パスに数値を入れたものを以下に示す。
5-1. 親への愛着から多次元共感性への影響
「母親愛着不安」から「他者指向的反応」「視点取得」(順にβ = −.18, p < .05 ; β = −.34, p < .001)に有意な負の影響,「自己指向的反応」(β = .15, p < .05)に有意な正の影響がみられた。「母親愛着回避」から「他者指向的反応」「想像性」(順にβ = −.19, p < 01 ; β = −.14, p < .05)に有意な負の影響がみられた。また,「父親愛着不安」から「他者指向的反応」(β = −.14, p < .05)に有意な負の影響がみられた。
5-2. 多次元共感性から愛他行動への影響
「他者指向的反応」から「心理的援助」「日常的援助」「不干渉」(順にβ = .52, p < .001 ; β = .19, p < .05 ; β = .19, p < .05)に有意な正の影響がみられた。「視点取得」から「心理的援助」「日常的援助」「不干渉」(順にβ =.16, p < .05 ; β = .13, p < .10 ; β = .18, p < .05)に有意な正の影響がみられた。また,「自己指向的反応」から「不干渉」(β =.10, p < .10)に有意な正の影響がみられた。
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