1.はじめに
近年、SNS(Social Networking Service)が急速に普及してきている。ユーザー同士の交流やコミュニケーションを主な目的とするソーシャルメディア系サービスの中でも「LINE」アプリの国内利用率は86.9%となっており、同様のSNSである「Twitter」38.7%、「Instagram」37.8%、「Facebook」32.7%と比べても非常に高い。特に10代の「LINE」利用率は94.4%、20代では95.7%、30代では94.4%と90%を超えている。40代以上でも他のソーシャルメディア系サービスと比べるとその利用率はやはり非常に高い(総務省,2020)。現代の人々にとって「LINE」は、主なコミュニケーションツールの1つであると言えるだろう。
「LINE」は、固定電話や携帯電話といった従来の電話としての音声による会話機能と、文字によるメール授受機能を持っている。従来の電話やメールと同じ1対1のトーク機能の他にも、3人以上でトーク機能が使えるグループ機能が備わっていることが特徴の1つとして挙げられる。アプリ上でグループを作ることで3人以上で同時に音声通話や文字によるメールをすることができ、様々な場面で利用されている。例えば、大学生がLINEグループを使用する場面としては、同じ学部学科やサークルなどの連絡用、友人との雑談、家族のグループなどがある。
グループ機能を使用するメリットとして、一度に複数人で会話でき、コミュニケーションが円滑に行えることがあげられる。しかし一方で、複数人で同時に会話するために上手く会話に入れなかったり、グループの人数が多くなることで情報が上手く共有されないなどのトラブルが起き、グループのメンバーが不満感を抱くこともあるだろう。これはLINEのグループに限らず集団の場合に起こり得るものであるが、SNS上での集団コミュニケーションの大きな課題と言える。
LINEグループでは、メンバー全員が平等に発言の機会を与えられているはずだが、実際に全員が等しく発言しているとは限らない。対面でない状況での会話であるがゆえに、送受信のタイミングなど集団成員にとって神経を使うことが案外多いように考えられる。すなわち、LINEグループ内でのコミュニケーションの構造は様々であると考えられる。例えばLINEで前述のようなグループを構成した場合には、同じ学部学科の連絡用、サークルや部活の連絡用などではフォーマルな要素が強くなると考えられるし、友人との雑談や家族のグループなどではインフォーマルな要素が強くなると考えられる。
本研究では、LINEグループにおける集団内コミュニケーションについて,その構造の観点から検討し、コミュニケーション構造が集団の満足度にどのような影響を及ぼしているのかということについて明らかにしていく。なお、前述した通りLINEには音声による会話機能と文字によるメール授受機能があるが、今回は文字によるメール授受機能にのみ着目して検討する。
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