5.考察
5-3.コミュニケーション構造とグループの構成人数による満足度の違い
コミュニケーション構造とグループの人数規模によって満足度にどのような影響があるかを検討するため、2 要因分散分析を行った。その結果、comcon 型のグループでは 9 人以下のグループが、10 人以上のグループよりも満足度が高いことがわかった。
加藤(2018)によると、LINE グループの短所として「通知が多くてうるさい」ことを多くの LINE 利用者が感じている。wheel 型のグループでは、発言する人が一部のメンバーに限られており、その分全体の発言数が少なくなるため comcon 型に比べて通知も少なくなることが考えられる。少人数のグループであれば全員が話に加わる comcon 型でも通知がそこまで多くなることはないが、人数が増えるとその分通知も多くなるだろう。また、通知が多いこと以外の短所として、「発言を常に追っていないと話題についていけなくなる」という意見も挙がっている。加藤によると、大勢のメンバーの投稿が連続して続くような活発なグループでのやりとりでは、情意的あるいは認知的な負荷が大きくなり、「面倒くさいことが多い」と感じている利用者も少なくないという。「大勢のメンバーの投稿が連続して続くような活発なグループ」とはまさに大人数からなる comcon 型のグループだろう。wheel 型のグループは人数規模が大きくなったとしても、発言は一部の人に限られているので、活発に話題が動くグループとは言えない。そのため、発言を常に追っていなくても何を話しているかわからなくなるようなことは少ないだろう。
これらの要因から wheel 型においては人数規模による満足度の差は見られないが、comcon型において少人数の方が満足度が高くなったのではないか。ただし、comcon 型のグループでは 9 人以下のグループが多く、wheel 型のグループでは 10 人以上のグループが多いというように、人数には偏りがあるため、偏りを無くした再検討が必要だろう。
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