5.考察
5-2.wheel 型構造における上下関係の有無による満足度の違い
wheel 型のコミュニケーション構造において、メンバー間の上下関係の有無によって満足度が異なるかを検討するため、対応のない t 検定を行った。その結果、有意な差は見られなかったが、全体的に上下関係があるグループの方が上下関係がないグループよりも満足度が高い傾向が見られた。
メンバー内に上下関係があれば、先生や先輩といった比較的強い力を持つメンバーが中心的な位置を占めることが多くなると考えられる。発言がその中心的メンバーに偏っていたとしても、上の立場にいる人間が中心になって話を進めていくことに違和感を持つ人は少なく、そのことが直接不満につながることは少ないだろう。しかし反対に、メンバー内に上下関係がない場合は、立場的にはメンバー全員がフラットな関係性であるはずなのにも関わらず、その中で一部のメンバーだけで話が進んでいくことには不満を抱く人もいるということだろう。ただし、上下関係がないメンバーの中でも中心的メンバーと周辺的メンバーができてしまうことはそう珍しいことではなく、そこに不満を感じない人も少なくないだろう。そのような理由から今回のような結果になったのではないかと考えられる。
なお comcon 型のグループでは「メンバーの間に上下関係がない」と答えた人が 90%以上とほとんどだったため comcon 型については分析していない。上下関係についての検討はwheel 型のみ行った。
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