総合考察
1.コミュニケーション構造による満足度の差
研究 1、研究 2 からフォーマルグループとインフォーマルグループのどちらの場合においても、comcon 型の構造を持つグループの方が wheel 型の構造を持つグループよりも満足度が高いことが明らかになった。
LINE のグループトークでは、先行研究のような対面で集まって課題を解決していく場面とは異なり、効率的に課題を遂行するということよりも、メンバー全員が平等に、かつ相互に発言をするというような活発なコミュニケーションが求められていることが明らかになった。これは、LINE がネット上だけではなく FTF の関係もある場合の補完的な役割を担っていることが関係していると考えられる。課題遂行や重要な話し合いなどは対面で集まって行い、それ以外の、それほど重要ではないことや雑談などをメンバーが集まれない場合でも円滑にやり取りを行えるようにするための補完的な役割である。そのため、LINE グループではフォーマルグループであっても課題遂行という側面よりも、あくまで会話などのコミュニケーションを取るという側面が重要視されていると考えられる。
また、フォーマルグループでの「メンバーの関係性」についての回答で多く見られたのがサークルや部活のグループである。新井(2004)によると、大学生のサークル集団はフォーマル集団とインフォーマル集団の両方の側面を持っており、そのフォーマル性は集団によって異なるという。サークル集団が持つこの特性によって、フォーマルグループとインフォーマルグループの違いが曖昧になっていることも要因の一つであると考えられる。
next→