結果と考察
回答に不備の無かったものを有効回答とし,有効回答者計122名分(男性:49名,女性:72名,回答しない:1名)のデータを分析対象者とした。自由記述についてはカテゴリー分けをしたのち,7人以上のカテゴリーのみ分析対象者としたため,有効回答者は115名分(男性:44名,女性:70名,回答しない:1名)であった。計画的な課題先延ばしについての研究を行いたいため,地方国立大学生,大学院生の等質集団に限定し,その中でも分散が見られるのか,見られた場合は何が異なるのかを検討した。
1.日本語版 Ten Item Personality Inventory(TIPI-J)
Big5について,本研究で扱った10項目は尺度の使用マニュアルにより項目の改変は認められず,10項目のセットで信頼性・妥当性を検討しているため,信頼性分析は行わなかった。小塩ら(2012)による先行研究で信頼性,妥当性についての結果は『正方向と負方向の2項目ずつでBig Fiveの各次元を測定する。対応する2項目間の相関係数は,r=-.59(外向性)からr=-.22(協調性)の範囲であり,低〜中程度の負の相関がみられた。Big Five各因子の意味の広がりを測定するという目的のためには,あまり高い相関係数を示さない方が望ましいとも考えられる。2週間間隔の再検査信頼性は次のとおりである:r=.86(外向性),r=.79(協調性),r=.64(勤勉性),r=.73(神経症傾向),r=.84(開放性,いずれもp<.001)』と示されており,妥当性については『併存的妥当性,弁別的妥当性を検討するために,既存のBig Five測定尺度であるFFPQ-50(藤島他,2005),BFS(和田,1996),BFS-S(内田,2002),主要5因子性格検査(村上・村上,1999),NEO-FFI日本語版(下仲他,1999)との関連を検討した。結果から,おおよそ予測通りの相関パターンが観察された。また,自己評定と友人評定との相関を検討したところ,外向性(r=.52,p<.001),勤勉性(r=.46,p<.001),開放性(r=.27,p<.05)で有意な正の相関係数が見られた。』と示されている。また,尺度の使用について,順番の入れ替え等行った場合には妥当性を保証しないとされており,採点方法についてもマニュアルを使用した。外向性:項目1+(8−項目6),協調性:(8−項目2)+項目7,勤勉性:項目3+(8−項目8),神経症傾向:項目4+(8−項目9),開放性,項目5+(8−項目10)という採点方法を使用し,各下位尺度の平均値と標準偏差を算出した(Table1)。
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