4.本研究の目的




 三浦・山本(2017)は教師からの言葉によるほめられ経験を「成長の称賛」「努力の称賛」「主観的な称賛」「日常の称賛」の四つの観点に分けて抽出し,それらがその後の学習意欲に及ぼす影響について検討した。そして「主観的な称賛」は学習意欲のどの下位尺度にも影響を及ぼさないことを明らかにした。しかしこの研究は大学生を対象としており,小学生を対象としたこのような研究はされていないことから検討の余地がある。そして児童が教師からのどんなほめ言葉により影響されるのかを検討するために,ほめられる側の立場に立っても研究を行うことが大事である。

 また,教師から児童への「ほめ」がもたらす影響や教師のほめ方に関する研究,学校適応感に影響を及ぼすさまざまな要因についての先行研究が多くあるが,発達段階の違いを小学校の様々な学年を対象とし,具体的な学校生活場面においての教師からのほめられ経験が学校享受感にどのような影響を及ぼすかについての研究は少ない。 

 そこで本研究では,教師による「成長の称賛」「努力の称賛」「主観的な称賛」「日常の称賛」のほめられ経験の実態について調査するとともに,その経験によって子どもが「ほめられる」という行為に対してどのような反応をもたらすか(意欲促進またはほめ不信),くわえて学校享受感にどう影響するか,小学校低学年,中学年,高学年の児童を対象に検討する。 

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