3. 性別と学年の違いによるほめられ経験,ほめられ反応または学校享受感への検討




 性別と学年の違いによって,ほめられ経験,ほめられ反応または学校享受感への影響にどのような特徴の差があるかを検討するため,2年生,4年生,6年生の「学年」と「性別」を独立変数,ほめられ経験尺度の下位尺度「成長の称賛」「努力の称賛」「主観的な称賛」「日常の称賛」またはほめられ反応尺度の下位尺度「意欲促進」「ほめとまどい」,そして学校享受感尺度を従属変数として2要因分散分析を行った(Table9)。

 従属変数をほめられ経験尺度の下位尺度とした2要因分散分析の結果は,ほめられ経験尺度の下位尺度である「成長の称賛」で性別と学年による有意な交互作用がみられた(F(2, 175) = 3.421;p < .05)。単純主効果の検定の結果,男性の場合における学年別が1%水準で有意な単純主効果がみられたのでShaffer法による単純主効果の多重比較を行ったところ,男性の場合において2年・6年の間,4年・6年の間に有意差がみられた(それぞれ2年 > 6年,p < .01;4年>6年, p<.05)。また6年生の場合において性別間に有意差がみられた(女性>男性,p < .01)。「日常の称賛」では性別による主効果が5%水準でみられた(F(1, 175)= 4.220,p < .05)。多重比較の結果,女性の方が男性よりも「日常の称賛」が5%水準で有意に高い結果が得られた。

 ほめられ反応尺度の下位尺度を従属変数とした2要因分散分析の結果は,「意欲促進」「ほめとまどい」で学年の有意な主効果がみられた(順にF(2, 175) = 3.833, p < .05,;F(2, 175) = 4.441, p < .05)。さらに「ほめとまどい」では性別間で有意な主効果がみられた(F(1, 175)= 11.943;p < .001)。Shaffer法による多重比較の結果,「意欲促進」での学年の場合において4年・6年間に,「ほめとまどい」では性別間において有意差みられた(順に4年>6年,p < .01;2年>6年,p < .05)。さらに「ほめとまどい」での性別間においては女性の方が男性より有意差がみられた。また性別,学年による交互作用は「意欲促進」でのみ1%水準で有意差がみられた(F(2, 175) = 5.414,p < .01)。単純主効果の検定の結果,男性の場合において学年間に0.1%水準で有意差がみられ,また2年生の場合において性別間に1%水準で有意差がみられ,女性のほうが男性より有意差が高かった。Shaffer法による多重比較の結果男性の場合において4年・2年,4年・6年の間に有意差がみられた(順に4年>2年,p < .01, 4年>6年,p < .01)。

 学校享受感尺度を従属変数とした2要因分散分析の結果は,学年による主効果が5%水準でみられた(F(2, 175) = 3.538; p < .05)。Shaffer法による多重比較の結果,4年・6年,4年・2年の間に有意差がみられた(順に4年>6年,p < .05, 4年>2年, p< .05)。



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