考察
本研究では,教師からの「ほめられる」という経験が児童の「ほめられる」という行為に対しての反応と学校享受感にどう影響を及ぼすか,低学年,中学年,高学年を対象に検討することを目的とした。まずほめられ経験によって,どのようなほめられ反応を及ぼすかを検討した。そして,教師からのほめられ経験,児童のほめられ反応がどのように学校享受感に影響を及ぼすかを検討した。
本研究では,以下の5つの仮説を立てた。
仮説1:低学年の児童は「成長の称賛」「努力の称賛」「主観的な称賛」「日常の称賛」関係なく,ほめられ経験により意欲促進の反応が生じる。
仮説2:中学年では主観的な称賛による意欲促進の反応より,努力に対する称賛による意欲促進の反応が高い。
仮説3:高学年では努力に対するほめられ経験は意欲促進の反応が生じ,主観的な称賛によるほめられ経験はとまどいも生じる。
仮説4:ほめられ経験によるほめられ反応が,ほめられてとまどう反応よりほめられたときのやる気につながる反応である方が学校享受感が高い。
仮説5:性差では,男子児童より女子児童の方がほめられ経験によってやる気につながる反応になりやすく学校享受感が高い。
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