3. 学年と性別の違いについての検討
仮説5を検討するために2年生,4年生,6年生の「学年」と「性別」を独立変数,ほめられ経験尺度の下位尺度「成長の称賛」,「努力の称賛」,「主観的な称賛」,「日常の称賛」またはほめられ反応尺度の下位尺度「意欲促進」,「ほめとまどい」,そして学校享受感尺度を従属変数として2要因分散分析を行った。また,3学年のほめられ経験とほめられ反応への影響から学校享受感への影響の因果関係の違いを検討するため,多母集団同時分析を行った。
結果,全学年では女子児童の方が男子児童より意欲促進,学校享受感の平均値が高く,仮説5は支持された。また,二要因分散分析で有意だったものはすべて女子の方が男子より高かった。西中(2014)は男子よりも女子の方が「被受容感」や「安心感」を感じているという結果が示唆されている。よって女子の方が男子よりほめられることに対して,より受け入れられていると感じたと考えられる。
「一方で学年別の違いとして多母集団同時分析の結果,2年生が6年生より「日常の称賛」から「意欲促進」への影響が強いという結果が得られたMueller&Dweck(1998);Kamins & Dweck(1999); Haimovitz & Corpus (2011);青木(2014)は,幼児期から小学校低学年までは内容にかかわらずほめられたことを肯定的に受け止め動機づけが高まるが,小学校高学年以降はフィードバックの内容によってほめへの反応が異なることを明らかにしている。本研究の結果も,この研究結果を支持するものとなった。
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