6.本研究の目的
自己開示を行う相手との関係性が自己開示量に影響を及ぼし,初対面の人より親しい友人の方が自己開示の量も多く,開示される内容も深くなるというように相手との親密さの違いに着目した研究がされてきた(丹羽・丸野,2010)。しかし,親しい友人とどのような関係を築いているかという友人関係の質が自己開示の量や深さに与える影響を追求した研究は見られない。また,SNS上の友人とどのような関係を築いているのかといった質的な側面に着目した研究はなされておらず,SNS上の友人の存在が対面状況の友人関係及び自己開示に影響を与えるかについては検討が行われていない。そこで,友人関係をとらえる指標として「同調性」と「心理的距離」を用いて,対面状況の友人とSNS上の友人の友人関係の在り方が自己開示に与える影響,SNS上の友人の有無が対面状況の自己開示の量や開示される情報の質に与える影響について比較を行うことを第1の目的とする。
以上のことから,本研究において,大学生の過去のとらえ方を知り,過去のとらえ方の違いによって現在の行動や認識にどのような違いがあるのかを検討する。現在の行動や認識として,幸せへの動機づけと社会人基礎力を扱い,何を目的として現在を生きているのか,普段どのような行動をとっているのかを見ていくこととする。
また,なんでも打ち明けられるような友人関係や親しい友人への自己開示の量が孤独感を低減することが明らかになっているが,自己開示の質的な側面に着目した研究の見解はさまざまであるため,検討の余地がある。加えて,対面状況の友人関係以外の新たな居場所としてSNS上の友人の存在があるのではないかと考えられるため,本研究ではSNS上の友人の有無によって孤独感に与える影響についても検討を行う。自己開示の質的な側面やSNS上の友人の有無が孤独感に与える影響について明らかにすることを第2の目的とする。
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