1.はじめに


 Erikson(1959)のライフサイクル論による と,青年期の発達課題はアイデンティティの確立である.時間的猶予の中で様々なことを経験しながら内省し,自分とは何かを考えることを通して,価値観や倫理観を形成し,信念を持つようになる.そうして,その価値観や倫理観,信念をもとに責任を持って学業や職業を自己決定するようになる.また,親から独立して,自分の意志で他者との関係を築いていけるようになる.このように独立意識を持つことが青年期では重要である.また,青年期は,自己と他者を比べ自分自身を理解しようとする中で孤独感が生まれる.その孤独感とうまく向き合うことも成熟した精神を得るために必要なことである.しかし,近年では,ほとんどの若者がスマートフォンを持つようになり,SNSを通して常に誰かと繋がれる時代になってきている.このような状況では,真に一人になって自己と向き合う時間を持つことが難しく,青年期の若者の独立意識や孤独感の持ち方に影響を及ぼしていると考えられる.
 
 本研究では,SNSの利用が独立意識や孤独感に及ぼす影響と,独立意識と孤独感の関係について明らかにしていく.



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