2.独立意識について


 独立意識とは,自分の意思に基づいて行動・判断しようとする意識である.そこには,親からの心理的離乳が必要であり,自立することが求められる.従来では,自立とは,親への依存から脱却することを指していたが,高橋(1968)は,依存から自立への変化を単なる前者の否定として捉えず,依存の対象が分化し,数や範囲が拡大したり,依存の様式や依存要求の充足の仕方が間接的で象徴的なものへと変化したりするなどの依存性の発達により自立が可能になるとした.また,水本・山根(2011)によると,「親からの適応的な心理的自立とは,親との信頼関係を基盤として親から心理的に分離し親とは異なる自己を築くこと」であり,親との良好な関係性も重要である.江口(1966)によると,自律性は,依存性の発達変容を通して獲得されるものであり,外からの刺激を受け入れながらも,その刺激に直接的に影響されずに自己決定するという柔軟な自律性を持つことが重要である.加藤・高木(1980)は,青年期の独立意識の構成内容を分析し,「独立性」,「親への依存」,「反抗・内的混乱」の下位尺度からなる「独立意識尺度」を作成した.そして,自己概念との関係を研究し,独立意識の高い者は自己を意識的で活動的であると意識することを明らかにしている.このことから,独立意識が高い者は,積極的な態度を持ち,他者との交流も活発に行うと考えられる.

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