5.本研究の目的


 若者の痩せすぎによる健康問題が深刻化し,その要因の一つに痩身願望が挙げられている。痩身願望は性別関係なく抱き,先行研究で様々な要因との関連が示されてきている。本研究では,その中でも痩身願望と多く関連が示されている自尊感情に着目する。自尊感情の肯定的態度はSOSEとBASEの2つの側面に分かれ,それぞれの影響の違いを検討する必要があると考えられる。さらに,痩身願望はこれまで挙げられてきた内的要因だけでなく,外的要因も大きく関わっている。その中でも,情報化が急速に進んでいる現代では,先行研究でも多く影響が示されてきているマスメディアやSNSの影響を検討する必要がある。これまでの痩身願望に関する先行研究では,女性のみに限定した研究は多くあるが,男性も対象とした研究は少ない。さらに,自尊感情の2つの側面に着目して痩身願望への影響を検討した研究はなされていないため,新たに検討していく必要があるだろう。そこで本研究では,マスメディアやSNSの利用が大学生男女の自尊感情にどのような影響を与え,さらにそれが痩身願望にどのような影響を与えるのか,その過程について,マスメディア・SNSの利用時間や性別に着目して検討することを目的とする。 ここでは,SNSの普及により現代の若者のマスメディア離れが進んでいるため,マスメディアよりもSNSから自尊感情,痩身願望への影響が大きくなると予想される。また,マスメディアやSNSで痩せるための情報や痩せている人を見ることで,他者と自分を比べてしまって社会的自尊感情が低下し, その結果痩身願望に影響を与えることが考えられる。  



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