考察


3.ダイエット行動の違いによる精神的健康状態の違い

 次に,仮説4を検討するため,ダイエット行動によるWHO-5精神的健康状態因子得点の対応なしのt検定の結果,有意な差が見られなかった.よって,仮説4は棄却された.

 ダイエット行動の違いによる精神的健康状態に違いが見られなかった点について2つの考察を行った.

 松本他(1997)は,ダイエット行動と摂食障害傾向,過食との関連の検討を行った結果,摂食障害傾向が高くなるにつれて,構造的ダイエットも非構造的ダイエットも高頻度で行うようになるが,摂食障害群では特に非構造的ダイエットの頻度が高いことを明らかにした.また,過食には非構造的ダイエットのみが影響していることも明らかにした.幸田・菅原(2009)は,過食の上昇を規定する要因の検討を行った結果,構造的ダイエットよりも非構造的ダイエットを行っていた者ほど,また,日常生活ストレスが強かった者ほど,過食傾向が増加していたことを明らかにした.また,過食との関連が明らかになった非構造的ダイエットと日常生活ストレスの交互作用を検討した結果,有意な差は見られなかったと明らかにした.これらのことから,1つ目の考察として,ダイエット行動の違いは,摂食障害や過食の病的な要因と直接的な関連が見られるが,摂食障害や過食を持たない人も対象とした精神的健康状態の違いとは直接的な関連が見られなかったと考えられる.

 また,WHO-5精神的健康状態表は,最近2週間の状態を「明るく,楽しい気分で過ごした」や「落ち着いた,リラックスした気分で過ごした」,「意欲的で活動的に過ごした」などの5項目で測定するものである.そのため,測定される精神的な健康度合いは,回答者にとって食事やダイエットに関連する要因以外にも,喜びを感じられる要因や,落ち込んでしまうような要因などの様々な要因が関係していると考えられる.よって,2つ目の考察として,ダイエット行動以外の要因からも精神的な健康,または不健康な状態が形成されるため,ダイエット行動の違いによる精神的健康状態に与える影響に有意な差が見られなかったと考えられる.



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