考察


1.痩身願望がダイエット行動に与える影響について

 仮説1の検討のため,重回帰分析を行った.

 痩身願望がダイエット行動へ与える影響を調べるため重回帰分析を行ったところ,どちらも有意な関連が見られた.「非構造的ダイエット」よりも「構造的ダイエット」の方が,強い関連が見られたことから,仮説1は支持されたといえるだろう.ただし,両者の差異はそれほど大きくない.ここから,痩身願望は,ダイエット行動と正の関連があるが,短期的で非健康的な「非構造的ダイエット」よりも長期的で健康的な「構造的ダイエット」との関連の方が強いことが明らかになった.痩身願望とダイエット行動の関連について,間瀬他(2012)は,女子大学生の約9割以上が痩身願望を抱き,約7割がダイエット経験を有していることを明らかにした.また,石川他(2020)は,女子大学生の約9割は現在よりも痩せた体型を理想とし,約6割はダイエット経験を有していることを明らかにした.さらに,江田(2006)は,大学生を対象とした調査で,男性よりも女性は痩せ志向が強く,35.5%の女性が現在ダイエットをしていると回答したことを明らかにした.人々は,ただ痩身を理想として保持し,痩身になりたいと考えるだけでなく,実際にダイエット行動を起こし,自らを変えようと試みることが本研究でも明らかになった.また,松本他(1997)は摂食障害傾向が高くなるにつれて,「構造的ダイエット」と「非構造的ダイエット」のどちらも高頻度で行うようになるが,特に「非構造的ダイエット」の頻度が高くなることを明らかにした.本研究では摂食障害などの病的な尺度を使うことなく,痩身願望を持つ人に焦点を当てて調査を行った.結果から,摂食障害傾向があるなしにかかわらず,痩身願望を持つ人は,ダイエット行動を行い,特に「非構造的ダイエット」よりも「構造的ダイエット」を選択する傾向にあると考えられる.

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