考察


本研究では,大学生における過剰適応と内省の関連に注目し,ストレスを対処する手立てによって,どのような違いがあるかについて,検討することを目的とした.
まず,過剰適応と内省の関連について検討した.次に,ストレス対処方略が過剰適応と内省の関係にどのような影響を与えているかについて,重回帰分析と媒介分析を用いた検討を行った.
本研究では,以下の5つの仮説を立てた.


 仮説1:過剰適応傾向が高い人ほど,他者からの評価的態度に敏感であるため,自分が他人にどう思われているか気になる,他人からの評価を考えながら行動するといった「公的自意識」得点が高くなると考えられる.

 仮説2:過剰適応傾向が高い人ほど,自分自身を低く評価しがちであるため,自己の行動を振り返り反省する「私的自意識」得点が高くなると考えられる.

 仮説3:過剰適応傾向が高い人ほど,感情の制御に重点をおいた情動焦点型のストレス対処方略を行い,「放棄・諦め」、「肯定的解釈」、「回避的思考」、「気晴らし」、「カタルシス」、「責任転嫁」得点が高くなると考えられる.

 仮説4:ストレス対処方略の問題焦点型である「情報収集」,「計画立案」得点が高い人ほど,課題解決に直結する可能性が高いため,自己の行動を反省する「私的自意識」得点が低くなると考えられる.

 仮説5:過剰適応傾向が高い人が、問題焦点型のストレス対処方略を行う場合、自己の行動を反省する「私的自意識」得点が低くなると考えられる。



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