結果




1. 各尺度の因子作成及び信頼性分析

 各尺度について先行研究にならい,因子を作成し,信頼性分析を行った(Table 1〜5).特性不安尺度の各項目の平均値と標準偏差及び信頼性係数としてクロンバックのα係数を求めた(Table 1).その結果,α係数は.902となり十分な信頼性が得られた.

 藤井(1999)の就職不安尺度を参考に作成した就職不安尺度22項目について最尤法・プロマックス回転で探索的因子分析を行い,因子負荷量が.30以下の項目を削除したところ,各尺度で計21項目3因子が抽出された(Table 2).高い因子負荷量を示していた10項目はいずれも教員採用試験に関する不安と捉えることができるため,「教員採用試験不安」と命名した.同様に,第2因子に対して,高い因子負荷量を示していた5項目はいずれも,将来の職場に対する不安と捉えることができるので,「職場不安」と命名した.最後に,第3因子に対して,高い因子負荷量を示していた6項目はいずれも職業の適性に関する不安と捉えることができるので,「職業適性不安」とした.各因子の信頼性係数は第1因子がα=.900,第2因子がα=.810,第3因子がα=.833であった.また,因子構造の妥当性を検討するため,確認的因子分析を行った(Table 3).その結果,許容できる適合度が得られたため,表で示された因子構造で分析を行うこととした.

若松(2006)において,Stump et al.(1983)の尺度を翻訳して使用した進路探索行動尺度(12項目)ついて確認的因子分析を行った(Table 4).その結果,先行研究と因子構造は異ならなかったため,第1因子を「情報収集」,第2因子を「自己内省」,第3因子を「外的活動」として分析に用いることとした.

樋口・塚脇・蔵永・井邑・深田(2008),Stump et al.(1983)の尺度を翻訳して用いた若松(2006)を参考に作成した教員養成課程に関わる進路探索行動尺度20項目について最尤法・プロマックス回転で探索的因子分析を行い,因子負荷量が.30以下の項目を削除したところ,各尺度で計18項目3因子が抽出された(Table 5).まず,第1因子に対して.30以上の高い因子負荷量をもつ11項目はいずれも教職をめざすにあたり行う情報収集ととらえることができるため「教職をめざすための情報収集」とした.同様に第2因子に対して高い因子負荷量をもつ4項目はいずれも教職に就くにあたり抱える不安を解消するために行う積極的対処行動ととらえることができるので,「教職の積極的対処行動」とした.最後に,第3因子に対して高い因子負荷量をもつ3項目はいずれも教職を志望するにあたり行う自己内省ととらえることができるため「教職のための自己内省」とした.各因子の信頼性係数は第1因子がα=.898,第2因子がα=.811,第3因子がα=.868であった.また,因子構造の妥当性を検討するため,確認的因子分析を行った(Table 6).その結果,許容できる適合度が得られたため,表で示された因子構造で分析を行うこととした.

浦上(1995)によって作成された進路選択に対する自己効力感尺度について佐藤(2016)や藤澤・原口(2019)を参考に,最尤法・プロマックス回転で探索的因子分析を行った.因子負荷量が.30以下の項目を削除したところ,計29項目1因子が抽出された(Table 7).信頼性係数はα=.931であった.また,進路選択に対する自己効力感尺度についても因子構造の妥当性を検討するため確認的因子分析を行った(Table 8).その結果,許容できる適合度が得られたため,計15項目からなる「進路選択に対する自己効力感」として分析に用いることとした.



















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