考察


本研究では,就職不安と進路選択に対する自己効力感が一般的な進路探索行動および教員養成課程に関わる進路探索行動に及ぼす影響について明らかにすることを第1の目的とし,就職不安が二つの進路探索行動に及ぼす影響について進路選択に対する自己効力感の高低によってどのように異なるのか明らかにすることを第2の目的とした.まず,進路選択に対する自己効力感が就職不安に与える影響について検討した.次に,進路選択に対する自己効力感と就職不安が進路探索行動および教員養成課程に関わる進路探索行動にどのような影響を及ぼしているのか検討し,進路選択に対する自己効力感の高低によって就職不安が進路探索行動に及ぼす影響がどのように異なるのかを階層的な重回帰分析によって検討した.

 本研究では,以下の3つの仮説を立てた.

 仮説1:教職志望の学生の中で進路選択に対する自己効力感の高い者ほど一般的な進路探索行動と教員養成課程に関わる進路探索行動を活発に行う.
 仮説2:進路選択に対する自己効力感が高いほど就職不安の得点が低くなり,進路選択に対する自己効力感が低いほど,就職不安の得点が高くなる.
 仮説3:先行研究では,自己効力感高群において,就職活動不安の中の「活動継続不安」,「準備不足不安」の得点が高い者は情報収集行動を行いやすいことから,本研究においても進路選択に対する自己効力感が高く,「教員採用試験不安」が高いほど情報収集に関する因子の得点が高くなる.



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