第U章 「教育愛」の定義
  第3節 教育について  

【教育について】


 

 第U章第3節では、シュプランガーの教育愛を愛の観点から見るだけでなく、教育の観点から見る必要があるため、彼自身の教育の捉え方にプラスアルファーする形で私が教育の定義付けをした。

 教育という言葉は、社会状況と大いに関係があり、人間の歴史の中で古くから存在した「教える」「育てる」の上に、新しく作られたものである。「教える」「育てる」に共通していることは、教えるに対し「教えられる」、育てるに対し「育てられる」があり、人を媒介し、対象者を2者以上持つことだ。時に、対象者の方向性は入れ変わることがあり、同時に2つの方向性が働くことも考えられる。ここに、教育の相互作用が成立する。「教える」とは文化道徳的なものであり、「育てる」は自然発達的なものであることから、これらの作用が互いに響き合って、人間を完成させていくといえよう。そして、人間の完成すなわち子どもを「善く」(時代によって定義は様々であろうが・・・)することにクローズアップし教育が行われるようになってきた。子どもを善くする為に、人々は教育をどのように捉えたのだろうか。その捉え方には、3つのモデルがある。「手細工モデル」、「農耕モデル」、「生産モデル」である(村井実『教育の再興』小学館 1987年を参照)。そこで、教育の特質と3つのモデルの長所・短所、子どもの自発性・自主性を踏まえ、教育を以下のように定義した。

 
 

 

第U章 「教育愛」の定義
  第4節 「教育愛」の定義  

【教育愛の定義】


   

  <シュプランガーの定義を基盤に据えて>

 

 共通性 
 影響力の接合点 

 第U章第4節では、1・2・3節を受け教育愛の定義を確立しようと試みた。その前に、図のように教育・愛をそれぞれ円で表現し、円の交わりを想定しました(Fig3)。そして、円が重なった部分を「教育愛」と考えた。重なった部分の解釈については、教育・愛ともに同じものを持つという「共通性」と、教育・愛とが互いに影響しあっている点という「影響力の接合点」の2つを定義の確立の主軸とした。

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