結果と考察
1.分析手順の説明
インタビューデータの分析は以下のような手順で行われた。
●インタビューデータの分析
(1) インタビューをすべて文字に起こした。
(2) インタビュー記録は、『情報交換』『学校・教員』『SC』『前の3項目に当てはま らないもの』に対する一つの考えとして判断できる単位で分割した。また分割したインタビュー記録をカード化し、KJ法によって分類した。
(3) 養護教諭の『SC』に対する発言を、1カードを1ポイントとして、各面接協力者におけるポジティブ・ネガティブ発言のポイントを出し、そのポイント数の割合からポジティブ・ネガティブ傾向を判断した。また、SCの『学校・教員』に対する発言も同様にしてポイントを出し、そのポイントの割合からポジティブ・ネガティブ傾向を判断した。(Table.2,Table.3)
(4) 各校の養護教諭、SCのインタビュー記録をもとに、それぞれの学校の連携の様子を図に表した。(Table.6〜9,Figure.1〜4)
(5) 各校の養護教諭の発言をもとにFigure.5を、また各校のSCの発言をもとにFigure.6を作成し、それぞれ養護教諭とSCの共通意識を明らかにした。
2.発言傾向からみる評価
それぞれの学校の養護教諭とSCの発言傾向を比較すると、a校は養護教諭・SC共にネガティブ、b校は養護教諭・SC共にポジティブ、c校は養護教諭・SC共にポジティブ、d校は養護教諭・共にネガティブという結果が得られた。これより、各校の養護教諭とSCの関係には、互いにポジティブに評価しあうb校、c校、互いをネガティブに評価しあうa校、d校の2つのタイプがあることがわかった。
Table.2 養護教諭の『SC』に対する発言傾向
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学校名 氏名 ポジティブ回数 割合 ネガティブ回数 割合 回数合計 発言傾向
a校 A 1 16.66% 5 83.34% 6 ネガティブ
b校 C 7 87.50% 1 12.50% 8 ポジティブ
c校 E 6 85.71% 1 14.29% 7 ポジティブ
d校 G 2 33.33% 4 66.67% 6 ネガティブ
Table.3 SCの『学校・教員』に対する発言傾向 |
学校名 氏名 ポジティブ回数 割合 ネガティブ回数 割合 回数合計 発言傾向
a校 B 5 38.46% 8 61.54% 13 ネガティブ
b校 D 6 85.71% 1 14.29% 7 ポジティブ
c校 F 9 64.29% 5 35.71% 14 ポジティブ
d校 H 2 40.00% 3 60.00% 5 ネガティブ
Table.4 養護教諭の『SC』に関する回答例
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●ポジティブ発言について
・カウンセラーが来て助かる。
・子どもの選択肢が増えた。
・一人で抱え込まなくなった。
・SCが来る日だけ登校してこられる生徒がいる。
・精神的に楽。
・助言してもらえる。
・相談できる。
・専門的に見てもらえる。
●ネガティブ発言について
・SCをどう活用してよいかわからない。
・SCをうまく活用できていない。
・SCを下に見ている人のいる。
・SCが短期間で変わるのがいやだ。
・SCを理解できない人もいる。
・身近な存在になりにくい。
・教師のような人間関係はできない。
・SCを嫌う生徒もいる。
・違う人種であるという違和感。
Table.5 SCの『学校・教員』に関する回答例
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●ポジティブ発言について
・コーディネーターの先生がいる。
・養護教諭を信頼している。
・相談の経路ができている。
・地域や学校のことがわかってきた。
・慣れてきた。
・先生たちと話す機会が増えた。
・生徒のことについて一緒に考える。
・使い方をわかってもらえている。
・以前は外部の人間であったが、徐々に学校側に入りつつある。
・住み分けができている。
・先生方が保護者に介入しやすくなっているだろう。
・学校は先生が主である。
●ネガティブ発言について
・何をしにきているのかを理解してもらえない。
・心理のことが伝わらない。
・SCを受け入れられない先生がいると感じる。
・やりにくいと感じていた。
・専門職だから気を使われる。
・お客様扱いを受ける。
・みんなに受け入れられているわけではない。
・緊張する。
・表面的な話しかしてもらえない。
・先生への介入が難しい。
・価値観をあわせるのが大変。
・適応するのが大変。
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