1.嫉妬感情

 坪田・深田(1990)によると、嫉妬感情の喚起される状況は2つのタイプに大別することができる。一つは、自分の愛する者の愛情が他者に向かう状況や愛情をめぐる争いの状況、もう一つは、自分より他者の方が優れていたり、他者(競争相手)が成功や利益を享受している状況である。

 前者の嫉妬状況は、エディプス・コンプレックスに代表される親子関係や生徒教師間に見られるものであり、後者は学習やスポーツにおける競争場面で自分が他者より劣っている、もしくはそう認知したときに嫉妬を感じる状況であると言える。Bers&Rodin(1984)は、前者の嫉妬状況で喚起される嫉妬を社会的関係における嫉妬(social-relations jealousy)、後者の嫉妬状況で喚起される嫉妬を社会的比較による嫉妬(social-comparison jealousy)と名付けている。

 前者の社会的関係における嫉妬の中でも、もっとも強烈であると言われているのが恋愛関係における嫉妬である。もっとも強烈であるということは、対人関係に与える影響もそれだけ大きいと考えられる。しかし、恋愛関係における嫉妬は対人関係に大きな影響を与えうるものであるにも関わらず、その心理学的研究は、現在日本では数少ない。本研究では、この恋愛関係における嫉妬を取り上げ、個人特性との関連について検討していく。



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