背景の影響 

 

 

以下は観察結果と観察終了後の保育者への聞き取りから言えることである。よって幼稚園対象児に限られる。

幼稚園4名は全員新入園児であるが、うち3名が「入園前の知り合い」という影響を受けていた。対象児E(年少男児)、F(年少女児)はともに入園当初からきょうだいのつながりで、さらには家が近所ということで知り合いだった幼児がいた。2名ともその知り合いは一人ではなかったが、Eはその中でも憧れ的な存在であった男児を、Fは遊びを共有できる女児を慕い、両者とも特定の友だちとなっている。これは謝(1999)の「入園前の友だち関係」がより強い影響を及ぼしているという結果と一致している。さらに、年少児でも数人いる知り合いの中から、相手の特性を知り、自分と合う相手幼児を選ぶことができるといえる。幼児は友だちとのかかわりの中で、友だちの気持ちや考えといった内面や、行動特徴、特性などについて理解していく。さらに他の年齢と比較し、幼児は客観的にとらえるのではなく、自分にとってどのような人であるか、自分とのかかわり方がどのようなものであったかという点からとらえている傾向がある(芳賀,2000)。よって、年少児が数人いる知り合いの中から特定の相手を選ぶことができるのは、一緒に遊んでいく中で、自分にとって心地よいかをとらえ、遊びの楽しさを共有できるかをとらえ、心地よい相手を求めていくようになると考えられる。

H(年中女児)は、同年にいとこがおり1学期の間はそちらへ行くことが多く、クラス内での他児との関わりは少なかった。そのため、クラスに慣れたのは一般的に園生活に慣れるといわれる時期よりも遅かったことも考えられる。また、母親同士のつながりで女児との関係はできていた。さらに、Hは登園するのが遅く、登園したときには他の幼児は遊びを始めているため、同じように登園の遅い女児といることが多くなる。そしてそのまま女児が特定の友だちとなっている。

 これらのことより、幼児の対人関係および園生活には家庭環境や養育的背景などの影響を色濃く受けていることがわかる。

 

 

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