支援の際の留意点 

 

 

○結果より・・・

 本研究の結果、年少児・年中児の間に、友だちの求め方の違いはみられたものの、年少児・年中児ともに10月前後に特定の友だちを求め始めることが明らかになった。

→→これらの結果より、10月・11月になってもなかなか特定の友だちがみられない幼児がいた場合には、注意しつつ観察する必要があると考えられる。

 

 

○具体的支援を考える

そして具体的な支援を考える際には、特定の友だちができない理由はひとつではないため、しっかりと幼児の心情を理解し、理由を考えなくてはならない。そのうえで理由に応じて支援を行う必要がある。

 

<考えられる具体的、3例>

        ■ 1つめは、入りたいという思いはあるが自分からは入っていけないような消極的な場合

消極的・・・例えば、ままごとの中に自分も入れてほしいくて他児の付近をウロウロしているが、なかなかそこに「入れて」が言えない幼児である。

考えられる支援・・・このような幼児には、保育者も一緒に他児の遊びに入れてもらって遊びに参加する支援。保育者も一緒に入ることで、入りやすいとともに遊びにも参加しやすくなる。

 

        ■ 2つめは、他児に関心がない場合

他児に関心がない・・・例えば独りで虫取りに熱中していたり、独りで砂遊びに夢中になっているなどで他児へ注意が向いていない幼児である。

考えられる支援・・・このような幼児には、幼児の世界を保障しつつ、保育者が寄り添い声かけをするなどして遊びを広げつつ、似たような遊びをしている幼児に目を向けさせるよう働きかける支援が考えられる。

 

        ■ 3つめは、気の合う友だちをみつけられない場合

気の合う友だちを見つけられない・・・例えば、他児に関心がないわけではないが、なんとなく自分の遊び方と他児の遊び方が違い遊んでも心地よくなく、あっちにいったりこっちに行ったりしている幼児である。

考えられる支援・・・このような幼児には、保育者が一緒に幼児の遊びを広げ、その中で幼児と気の合う他児を丁寧に見つけていくという支援

 

2つめと3つめの支援は、どちらもまずは保育者が幼児と遊びを広げることが大切であると考える。

→→→これは、幼児を突然他児のなかで遊ばせようとしても、自分の思いを伝えられなかったり、思い通りに行かないことで、他児との遊びに息苦しさを感じる可能性があるからである。まずは自分の思いを受け止めてくれる保育者と遊びを広げ、さらにふとしたときの保育者の働きかけによるさらなる遊びの広がりを感じることで、自分とは違う考えをもつ人と遊ぶことの楽しさを感じていくことができる。

 

※さらに上記の3点に共通するのは、保育者が仲介に入りつつ、他者との接点を増やしていくことである。保育者が仲介者となることは、横山(2003)も保育者の重要な役割としてあげていることである。

 

しかし!!

いつまでも特定の友だちだけでよいというわけではない。

幼児にとっては、大好きな特定の友だちといつも一緒にいられることは楽しくてしかたないことだろう。そのため、自分からはなかなかもっと他の友だちへと意識が向きにくくなることも考えられる。

←それでは、対人関係の広がりにつながっていかない。

 

      ↓↓↓

 

友だちを意識できるようになってきたら、大好きな友だちとの遊びも十分に楽しむことのできる時間を大切にしたうえで、クラス全員での活動を行うなど、もっとクラスの友だちに目を向けられるような援助が大切だろう。

<例>

        ■ 一人ひとりの幼児に話を聞くような遊びを考える。幼児の好きなものなどを聞き、同じものが好きなお友だちを聞くなど。

        ■ 製作活動を行うときにも、全員ができてからみんなで友だちの作品を鑑賞する。

誰のどんなところがおもしろいとか、あの子の作品が素敵だななど、友だちの作品を通してその子のことを見ることができる。

 

 

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