方法
(1)対象児
三重県内の保育園、幼稚園
各3歳児クラス2名の合わせて4名(男児2、女児2;観察開始時平均月齢41.5ヵ月;レンジ40‐43ヵ月)
各4歳児クラス2名の合わせて4名(男児2、女児2;観察開始時平均月齢55.75ヵ月;レンジ55‐57ヵ月)
計8名
○対象児の条件
■ 欠席が少なく、転勤の予定のない幼児(←継続して観察を行うため)
■ 一般的な幼児(←各年齢の平均的な対人関係の発達的特徴を検討するため)
*一般的な幼児:人見知りや、誰でもかまわずついていくというような、極端な対人関係が見られない幼児
(2)期間
■ 2006年6月〜11月
■ 観察頻度:各園1週間に2回、1ヵ月に8回程度
※幼稚園は、夏休みおよび園の都合により、7月中旬から9月末までは観察を行っていない
※保育園は7月から8月末までは縦割り保育が行われており、観察は行ったが分析には含まれていない
(3)手続き
■ 保育に参加しない観察者
■ VTR撮影による自然観察(2台用いる。1台は観察者操作、1台は固定)
■ 本観察に先駆けて、予備観察を行った
○観察場面
@昼食時の着席場面
A全体活動導入時の着席場面(幼稚園)
Bおやつ時の着席場面(保育園)
−この場面中で幼児がどのような経緯で誰と座るかを観察した
※幼稚園では弁当の日はおやつがないため場面Bおやつ時は保育園のみとした。保育園では観察に入っている間に場面A全体活動導入時はほとんど見られなかったので、対象場面から省いた。
○観察方法
■ 1回の観察で2人の対象児の観察
■ 1台は、その日主となっている1人の対象児の様子がはっきり捉えられるよう観察者が操作し撮影を行った(以後(個)カメラとする)。もう1台は、その日副となっているもう1人の対象児の着席行動を捉えられるよう、なるべく教室全体が捉えられる位置に設置した(以後(全)カメラとする)。
(個)カメラで撮影するのは対象児1人当たり月1・2回
(全)カメラで撮影するのは対象児1人あたり月1・2回
■ (個)・(全)カメラ合わせて対象児1人につき月3・4回の観察
■ 観察終了後は幼稚園の保育者にも聞き取りを行った(考察に用いる)
(4)分析
○分析対象時間
■ 観察開始時点の設定は以下のTable3のように行った。
■ 分析は、観察開始時点のあと対象児がVTRに映った時点から行った。
■ 観察終了時点は、原則として対象児が着席してから5分後とした。
※しかしそれ以前に対象児が着席している机、またはその周辺が埋まったときには、その後対象児が他の幼児に働きかけることは考えにくいため、最後の幼児が着席した時点を分析終了時点とした。
○カテゴリの選定
■ 他幼児への働きかけ方略のカテゴリは、先行研究(外山,1998)および予備観察を参考に、Table4に示すように決定
■ 観察時間中の働きかけに関して、「直接(下位カテゴリ×5)」、「間接(下位カテゴリ×2)」
■ 観察時間以前の出来事として「事前(下位カテゴリ×2)」
■ 「その他(下位カテゴリ×2)」については、働きかけではないため、考察にのみ用いる
○データ抽出
■ その日主となっている対象児のデータは(個)カメラからのみ抽出。同様にその日副となっている対象児のデータは(全)カメラからのみ抽出。
■ 例外として、他児への働きかけの方略(Table4)の「事前」のカテゴリについては、対象のVTRに撮影されていなくても記録があるときには分析に用いた。
○分析
■ VTRより観察時間中の対象児の行動を文章転記
■ チェックシートに観察開始時間・終了時間を記録し、対象となる方略が発生した時点で生起時間、相手幼児とともに項目を記録
■ 観察ごとに観察時間が異なるため、頻度データは観察時間ごとに30分あたりの生起頻度に換算し、分析に用いた