方  法

一、調査対象

調査対象は、中国江蘇省下の4年制J大学に在籍する大学生300名であり、有効回答数は284名男性150名、女性134名)、回収率は94.7%であった。全調査対象の平均年齢は20.5歳(SD=1.17)であった。

学年は一年生69名、二年生130名、三年生10名、四年生75名であった。専攻別に見た被調査者の内訳はTable1)に示すとおりである。

    Table1  被調査者の内訳

 


  
 

 

 

 

 

二、調査時期:

調査は、質問紙法により2006年9月18日から29日にかけた。

 

三、調査実施状況:

大学の講義時間を利用して回答を依頼し、無記名方式により実施した。質問紙の回答に要した時間はやく15分程度であった。

 

四、質問紙の構成:

1  フェイス項目:学部、学年、性別、年齢をたずねる4項目で構成された。

2  進路選択に対する自己効力感尺度(Career Decision-Making Self-Efficacy Scale)

Taylor & Betz(1983)、古市(1995)、浦上(1995)、富安(1997)を参照し、自己適性評価、職業情報の収集、目標設定、計画立案、問題解決に関する自己効力感について、 25 項目を設定した。回答は「非常に自信がある」「少し自信がある」「あまり自信がない」「まったく自信がない」の4段階法で測定。

3  進路選択に対する結果期待尺度:

安達は邦訳したBetz & Voyten(1996)の4 項目を使用。回答は「非常によく当てはまる」「少し当てはまる「あまり当てはまる」「全く当てはまらない」の 4 段階法で測定。

4  職務内容による職業興味尺度:

Holland(1970、1973)の職業興味目録(Vocational Preference Inventory;VPI)、若林・和田ら(1986)、白利剛・方利洛(1996)を参考にして、中国の職場や組織に合致した職業が選ばれた。事務職、商業美術職、販売・現業職、教育職、語学職、マスコミ職の6領域を設定し、45項目の具体的な職業内容に対して、「非常に興味がある」「少し興味がある」「あまり興味がない」「まったく興味がない」の4 段階法で、興味の程度を測定する。

5  職業志向尺度:

職業選択と関連するとして職業志向をとりあげた。若林ら(1984)で作成された尺度の短縮版が用いられた。職業志向とは、職業や仕事に何をもとめるかという、仕事の条件やその結果に対する期待や好みことである。本研究は中国での就職や仕事における重要な条件として、学生たちが志向しそうな15項目が選定した。これらの項目は、いわゆる労働条件(給与、通勤、休日、職場環境など)から、人間関係(同僚、職場の雰囲気など)および仕事のやりがい(専門性、複雑性、創造性を発揮する機会など)にまたがる、多様な内容を含んでいる。

回答者はそれぞれの項目に対し、自分がつきたいと望んでいる職業には、それがどの程度そなわっていて欲しいと思うかを、「非常にたくさんあってほしい」「かなりたくさんあってほしい」「普通以上にあってほしい」「普通にあってほしい」「普通以下でよい」の5段階法で測定。

 

6 その他の質問項目:

本研究では以上の質問項目の他に、父毋の学歴と職業に関する質問項目を設け、情報を得た。

 ただし、本調査は中国の大学生を対象に、中国にて行われるため、中国語訳文としての概念の妥当性、本文との一致性については、本調査実施する中国J大学の外国語学部の日本語を専門とする二人教授によって確認を受けた。

具体的な手順は、まず、日本版質問紙が日本語を専門とする教授の一人に中国語に訳してもらい、次に、翻訳した中国語訳文質問項目を日本語専門のもう一人の教授に再び日本語に訳してもらう。ニュアンスが一致するかどうかを検討して、中国語の尺度を作成した。

 

▲  問題と目的           結果と考察