U.方法


1.実地研究の詳細
 (1)概要:大学2〜4年次を対象とし、三重県志摩市のある幼稚園・小学校・中学校で3泊4日の教師見習いをする。その中で、学生が立案した授業を2時間実施する。授業のテーマは「コミュニケーション」で、授業案の作成は少人数のグループにより長期にわたって準備された。(2)実地研究の流れ:2006年5月〜9月@ガイダンス…2006年5月〜7月に、授業の目的や内容について、担当学年、授業のテーマ、担当チューターなどの決定事項を参加学生は教員からアナウンスされた。その後担当のグループに分かれて授業案作成の協議が開始された。A授業案作成・検討…各グループで授業案を作成し、検討会で授業案の検討・最終案の確定が行われ、最終授業案が8月末に提出された。B実践…9月5日から4日間現地研修が行われた。学生は担当する園校で、朝から夕方まで現地の教師に付き添い、授業の見学や子どもの学習補助をした。また休み時間や給食の時間には、学生が子どもと積極的にふれあうことができるように配慮された。その中で学生が作成した授業を2時間実施した。Cふりかえり…研修終了後、10月に最終レポートが学生に課された。また、今後の分析では、@をガイダンス期、Aを授業案完成期、Bを実践期とした。
2.対象:2006年に実施された実地研究に参加した三重大学教育学部の学生33名(2年生18名、3年生2名、4年生10名、院生2名)。
3.ポートフォリオの項目:(1)評価項目…コミュニケーションへ行為の志向性・達成感について測定するため、浅川(2003)、中西・伊田(2006)、伊藤(2004)を参考に独自に作成し(1 . やっていることが面白いと感じた、2 . 行っている活動をうまくやり遂げる自信が感じられた、など8項目)、各項目について10段階で評価を求めた。(2)自由記述項目…ポートフォリオの記録として残しておく必要があると考えられる項目を担当教員と独自に5項目作成し、各項目について自由記述で回答を求めた(「1 . 今回行ったこと、できたこと」、「3 . 今回の活動の中での他者との関わり」など)。
4.手続き:実地研究に参加した学生に対して、教員からMoodle上に設定されたポートフォリオのコーナーへの書き込みが指示された。本研究では教員から具体的に指示があった期間に記入された書き込み、もしくはその期間のことが書かれたものを分析対象とした。