今後の課題として考えられることを、以下に2つ挙げる。
1つは、父親の結婚満足度を検討することである。本研究では、「大学生の青年は、父親より母親を近く
に感じていること」、「多くの先行研究で、女子青年の結婚観には、母親の結婚生活を、娘がどのように
感じるかが重要であると報告されていること」の2点から、両親の中でも特に母親を取り上げ、母親の結
婚満足度の認知が大学生の結婚観に与える影響を検討した。しかし、「母親の結婚満足度の認知は、同性
である女子大学生の結婚観に非常に大きな影響を与えていた」という本研究の結果より、男子大学生の結
婚観においても、同性である父親の結婚満足度の認知が影響を与えているのではないかということが示唆
された。今後は、父親と母親、両方の結婚満足度の認知について比較検討し、大学生の結婚観について、
同性の両親からの影響を深く掘り下げていくことが必要であると考えられる。
2つは、より幅の広い属性を持った集団を対象として検討を行うことである。本研究では、国立の4年制大
学の大学生のみを対象として調査を行った。国立の4年制大学に通っているという点で、本研究の調査対象
者は、職業意識や母親の結婚満足度の認知の比較的高い集団であったと考えられる。さらに、質問紙の多く
は、筆者の所属する学部の講義時間中に配布・回収されたため、調査対象者は同じ領域を専攻するものが多
かった。このことから、本研究の対象者は、家庭環境や職業意識が似通った集団となってしまったことが考
えられる。この点に関して、これから職業選択を行う未婚の集団として大学生に着目することは重要である
が、今後は異なる学部・領域を専攻する集団や、私立の4年制大学に通う大学生などを対象として、検討を
行うことが望まれる。
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