各変数間の影響について、教師全体、年齢送別、学校種別ごとに検討し、それぞれ異なる、または同様の影響がみられた。 まず全体、年齢層別、学校種別で共通している点として、職場風土認知から職務活動認知に対し有意な正の影響が見られたことが挙げられる。どの職場、どの年齢層でも、職場が協働的であると、自分の学校への満足感や職務意識が高く、異なる学年間や分掌間でのやりとりが活発であると感じていることが明らかとなった。Figure 3に示した適合性のある因果モデルでは、職務活動認知から職場風土認知へも正の影響が出ていたため、これらは互いに影響しあう変数であるといえる。 また、それぞれのパス図において、援助志向性・被援助志向性から職場風土に向けたパスは有意でないものが多かった。Figure 1を見ると全体では職場風土認知を超えてパスが出ているものが多く、職場風土を媒介変数としない場合が多い可能性がある。また、援助関係だけが職場風土を規定する要因ではないことも考えられる。何が職場風土を規定するのかは、援助関係だけでなく他の要因も考えていく必要があることが示され、職場風土研究では課題となる点であると考える。 年齢層別の分析では、若手教師は年上の教師に対して遠慮をすることで職場の雰囲気がよくなると認知している可能性がある点や、年輩教師が研究会などの勧誘をすることで職場の雰囲気がよくなると認知している点について、年齢による特徴が表れていると考える。 学校種別の分析について、小学校教師は、職場風土認知から学級風土にパスが多く出ており、職場風土が子どもの様子に影響を与えると認知していることがわかった。小学校教師は教科制ではなく担任制であり、1クラスにおいて教師と子どもの過ごす時間は中学校教師より長いと考える。また、教師は個人の仕事になりがちであるため、教師どうしで悩みや学校目標を共有していくことで、クラスの問題も解決していけると認知しているのではないだろうか。 中学校では、同僚の相談にのらない、助言をしない、または同僚に気遣ってほしくないと思っているほうが職場は協働的であると認識しているという結果が出た。研究会等の、生徒指導や教科指導などの仕事に関わる部分では、教師の協働が見出されるのかもしれないが、相談事や体調を気遣う等、個人的なことについて触れないほうがよい雰囲気が形成されている可能性が考えられる。ただし、この結果は中学校教師全般にいえるというよりは、今回対象とした中学校は2校のみであり、どちらかの職場風土が結果に影響している可能性がある。 以上から、各変数間の影響の特徴は明らかとなったが、詳細な同僚どうしの実情については、尺度項目からは読み取れない部分がある。そのため、次章で自由記述と学年団の同僚どうしの数値を照らし合わせ、学年団の雰囲気や同僚の関係について詳細に検討していきたい。 |
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