これまで述べてきた結果から、多くの変数の間に関連があることがわかった。そこで、変数間の詳細な関係を見ていくため、重回帰分析を行い、変数間の因果関係を明らかにする。問題と目的で仮説として設定した因果モデルに従い、独立変数としての「援助志向性」と「被援助志向性」が、媒介変数である「職場風土認知」に影響を与え、その「職場風土認知」が従属変数である「職務活動認知」と「学級風土」に影響を与えると仮定して、因果関係を検討する。さらに、年齢と、小学校・中学校別に分析をし、変数の関連の仕方にどのような差異があるのか検討することを目的とする。 |
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各変数が職務活動認知と学級風土に与える影響を調べるため、階層的重回帰分析を行った。まず、特性援助志向性である『援助に対する肯定的態度』、『援助に対する懸念と抵抗感のなさ』、『援助の手控え』と、状態援助志向性である『助言と情報提供』、『助力と気遣い』、『勧誘と紹介』と、特性被援助志向性である『被援助に対する肯定的態度』、『被援助に対する懸念と抵抗感のなさ』と、状態被援助志向性である『被勧誘と紹介』、『被助言と忠告』、『被気遣い』、『物品借用と譲受』、『被助力と代行』の14変数を独立変数に、『職場風土認知』を従属変数に設定し分析を行った。次に、『職場風土認知』を加えた15変数を独立変数とし、職務活動認知尺度の下位尺度である『学校への満足感』、『異なる役職での連絡調整』、『役割認知と仕事への態度』の3変数と、学級風土尺度の下位尺度である『学校活動への関与』、『自然な自己開示』、『生徒間の親しさ』、『学級内の不和』、『規律正しさ』、『学習への志向性』、『学級内のもめ事の少なさ』、『男女の親しさ』の8変数の、計11変数を従属変数とし、重回帰分析を行った。 また、仮説的因果モデルを検証するために、特性援助志向性・状態援助志向性・特性被援助志向性・状態被援助志向性から、職場風土認知にパスを引き、さらに職場風土認知から職務活動認知・学級風土の各下位尺度に向けてパスを引き、共分散構造分析を行った。分析対象者は教師全体、年齢層別(若手29名、中堅21名、年輩38名)、学校種別(小学校98名、中学校33名)にわけて検討した。教師全体のみ、モデルの適合性が十分に出るまでパスの位置と変数を変更し、最適なモデルを探索的に検討した。 |
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