*今後の課題*



 最後に,本研究の今後の課題を4点述べる。
 1つは,調査対象者の子どもの年齢についてである。本研究では,0〜4歳の乳幼児の子どもを子育て中の母親を対象とした。それは,子ども観など,母親が元来持っている考えは,育児を通して信念に影響していく (陳ら,2006) ため,乳幼児期の子育てをしている母親を調べるためには,今子育てをしている母親を調査することが重要であると考えたからである。しかし,その後の子どもとのかかわりや遊び場面での楽しさがどのように変容していくかは,この研究からは予測できない。そのため,子どもの成長に合わせて母親たちにも調査することにより,今,乳幼児の子育てをしている母親にとっても見通しを持てるきっかっけとなる研究となるだろう。

 2つは,父親に対する調査も必要だということである。本研究では,母親に視点を置いて検討してきた。しかし,子どもとの遊びを楽しみたいと感じているのは,共に子育てをしている父親も同じであるだろう。そのため,父親の「遊び観」や「かかわり方」,「楽しさを感じる場面」も明らかにする必要があるだろう。それにより,父親との比較検討をすることや,家族で遊びを楽しむことにつながる支援も示唆できるのではないだろうか。

 3つは,子どもの気質についてである。本研究では,母親のかかわりに対する苦手意識や不安を問題意識として研究を進めたため,母親の目線から子どもの遊びについて検討してきた。しかし,森下・森下 (2006) は,子どもの気質が母親の養育態度に影響することを明らかにしている。このことから,子どもの気質も考慮に入れて検討していく必要があるといえるだろう。本研究と子どもの気質との関連も明らかにすることにより,実際の親子関係に向けて,より具体的な支援ができるだろう。

 最後に,4つは,自由記述から得られた具体的な遊びと,本研究の変数間の関係との関連を検討する必要があることである。本研究では,「遊び観」と「遊び場面での母親のかかわり方」,「母親が楽しさを感じる場面」を中心に検討することが目的であったため,具体的な遊びについては考察では取り上げなかった。しかし,具体的な遊びをイメージした上で,変数間の関係を検討することができたことは,意義があったといえるだろう。今後は,さらに遊びごとによる変数間の関係に違いがみられるかどうかも検討する必要があると考える。それにより,具体的な遊び場面における支援が考えられるだろう。



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