*予備調査*
目的
本研究では,母親の「遊び観」と「遊び場面での母親のかかわり方」,「母親が楽しさを感じる場面」の関連について検討することを目的としている。独立変数の1つである,母親の「遊び観」は本研究で重要な要素である。しかし,【問題と目的】で述べたように,「遊び観」についての先行研究において,本研究の主旨と合致するものがないため,予備調査として遊び観尺度の作成を試みる。
なお,本調査では,家庭で子どもとかかわる時間が長く,「うまくかかわることができない」,「遊びを十分に楽しめない」と感じる母親が多いと考えられる,専業主婦の多い幼稚園の未就園児クラスや,1歳6ヶ月児健診,親子広場で調査を行ったが,予備調査では,尺度の構成を確認する目的と,早期実施に向けて,調査対象者を短期間で集める必要があたったため,保育園の0〜2歳クラスを対象として実施した。
方法
1.対象者
M県T市内の保育園 (公立4園,私立6園) に在籍する,0,1,2歳クラスの子どもをもつ母親を調査対象とした。
なお,対象園はそれぞれの園の方針の影響を最小限にするため,私立・公立の両方を含んでいる。
質問紙調査用紙を,封筒に入れて配布し,後日保育園を通して回収した。配布数は425名で,回収数は314名であった (回収率73.9%) 。
また,親子教室に通う0歳から2歳の子どもを持つ母親11名からも協力が得られた。したがって,合計325名のデータを分析対象とした。
2.調査時期
2011年7月〜8月。
3.手続き
各園の保育者の方に協力してもらい,対象児の園児に封筒に入れた質問紙を配布した。封筒には,質問紙と保護者宛に質問紙の回答に関する連絡事項の文章を同封した。母親には,質問紙の回答後に封筒に入れて,各園の担任の先生提出してもらった。
また,園によっては,調査者が各園に回収箱を置き,母親に投函してもらうところもあった。提出された質問紙は,後日調査者が各園に伺い,回収した。また,親子教室では,親子教室での活動後,調査者から母親に直接配布し,その場で回答してもらった。
4.質問紙の構成
(1) フェイスシート
(2) 子どもの年齢,性別,家族構成,母親の就業形態 (正社員・パート・専業主婦・その他)
(3) 母親の遊び観について
森ら (1979) の「親の遊び観」に関する項目,溝口・棚橋・浅野 (1983) の「母親の遊びに対する意識・態度および行動」に関する項目,福丸・無藤・飯長 (1999) の「子ども観」に関する項目を参考に33項目を作成した。しかし,それらの項目だけでは,乳児期の遊びに対する考えを網羅することができていないと考えたため,心理学の研究室に在籍している学生11名と教員1名で「『子どもの遊び』に対する考え方としてイメージするもの」を項目として挙げ,それらの項目をKJ法により,14のカテゴリーに分類した。そして,さらに,そこから教員と学生の3名で使用する項目を検討し,55項目に絞って質問紙を構成した。母親には,「あてはまらない」〜「あてはまる」の4件法で回答を求めた。
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