3.先延ばし行動傾向と自己効力感および評価不安の関連
受動的先延ばし行動傾向および積極的先延ばし行動傾向と自己効力感、評価不安との関連を検討するために、相関係数を用いて検討を行った。
まず、先延ばし行動と自己効力感の関連について、受動的先延ばし行動傾向は、「課題先延ばし」と「約束事の遅延」のいずれにおいても、自己効力感のすべての下位尺度と有意な結果は得られなかった。一方、積極的先延ばし行動傾向は、「プレッシャー管理能力」および「締め切りに間に合わせる能力」において、自己効力感のすべての下位尺度と有意な正の関連がみられた。先行研究において、先延ばし行動と自己効力感の関連について、受動的先延ばし行動傾向は負の関連、積極的先延ばし行動傾向は正の関連があることが報告されている(Chu & Choi,2005)。本研究では、受動的先延ばし行動傾向において有意な結果ではなかったものの、下位尺度すべてにおいて負の値が得られていることから、おおむね一致する結果であるといえる。
続いて、先延ばし行動と評価不安の関連について、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」および「約束事の遅延」と評価不安との間に有意な結果は得られなかった。一方、積極的先延ばし行動傾向は、「プレッシャー管理能力」および「締め切りに間に合わせる能力」において、評価不安との間に有意な負の相関が示された。この結果は、評価不安が低いほど、積極的先延ばし行動傾向が高いことを示している。先行研究において、「失敗への恐れ」が先延ばし行動の要因として明らかにされており(Solomon & Rothblum,1984)、評価不安は「失敗への恐れ」のパーソナリティ要因のひとつとして捉えることができる。本研究では、有意な結果ではなかったものの、受動的先延ばし行動傾向の下位尺度において正の値が得られている。また、受動的先延ばし行動傾向と積極的先延ばし行動傾向が異なる側面であることを踏まえると、積極的先延ばし行動傾向と評価不安に負の関連がみられたことは妥当な結果であるといえる。
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