まず、大学の学習に対する課題価値尺度の因子の確認を行うため、SPSSを用いて最尤法による因子分析を行い4因子解を抽出し、プロマックス回転を施した。
因子ごとの項目内容を検討した結果、第T因子、第W因子は先行研究を踏まえた予測の通り、「興味価値」と「コスト感覚」に分類されたため、そのまま扱うこととした。第U因子と第V因子については、市原ら(2006)の先行研究で獲得・利用価値としてひとつの因子にまとまっていたものが今回は2因子として抽出された。第U因子は将来的に必要となるかどうか、また自分にとって役に立つかどうかといった内容の項目からなっていたため「利用価値」、第V因子は成績や他者との競争における価値など、学習での成功の獲得そのものに価値を感じる項目からなっていたため「獲得価値」とした。Eccles & Wigfield(1995)において、課題価値は「興味(intrinsic value or interest value)」、「獲得(attainment value)」「実用性(utility value)」「コスト(cost)」に分類されている。本研究の課題価値尺度はこれに対応するものとなり、解釈可能であるため4因子解を以後の検討に使用することとした。項目の内容と因子負荷量、因子間相関の結果をTable3に示す。
各変数の相関関係
課題価値の4因子を踏まえ、全ての変数について先行研究に従って尺度得点を算出したのち、記述統計量とCronbachのα係数を算出した。その結果、学業的満足遅延の尺度の内部一貫性が確認された。努力調整、メタ認知傾向、持続性の欠如においても十分な内部一貫性を示していた。因子分析によって得られた課題価値の4下位尺度の信頼性の値も十分なものであった。さらに、変数同士の相関係数を算出した。結果をTable 4に示す。


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