【問題と目的】
2.SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)について
SNS(Social Networking Service:ソーシャルネットワーキングサービス)とは,FacebookやTwitterをはじめとした,非対面形式でのコミュニケーションアプリやWebサイトなどの総称である。SNSはコンピュータを介したコミュニケーション(Computer-Mediated Communication:CMC)の一つとされ,CMCの特徴として,非言語的手がかりが少ないために自己呈示がしやすいこと,などが対面でのコミュニケーションとの違いとしてあげられている(Walter,1996)。一方で,SNSではコミュニケーションのネットワークが現実の人間関係を基に形成されることなど,従来のCMCとの違いも指摘されている(吉野,2008)。すなわち,SNSは,CMCと対面によるコミュニケーションの双方の要素を含んだもの,あるいはどちらとも異なったコミュニケーションツールと考えられる。SNSの利用は,元々はWeb上でのコミュニケーションサイトのみであったが,現代ではスマートフォンを用いたアプリ形式での利用が可能となっている。本研究の対象であるLINEもまたSNSの一つに含まれる。
具体的にSNSの中身を見てみると,Facebookは実名での利用者が多いことに対してTwitterでは愛称や匿名での利用者が多いこと,FacebookやTwitterが全体に向けた情報発信型なのに対してLINEは特定の個人や集団を対象とした会話型であることなど,ひとまとめにSNSと言ってもその実態は様々である。このことから,SNSに関する研究においては各SNSを個別に見ていくことが必要だと考えられる。しかし,吉野(2008)のようにSNS一般を対象とした研究は数多く見られる中で,特定のSNSを対象とした研究はあまり見られない。とりわけLINEは,近年(2011年6月から)登場したコミュニケーションツールであることからも,LINEを対象とした研究はほとんどないのが現状である。これらのことから,本研究ではLINEという特定のSNSを研究対象とする。