【問題と目的】
5.支援力について
受援力について考えるにあたっては、支援力についても考える必要がある。
「支援力」とは文字通り支援する力のことを表しており、「受援」という言葉自体も、「支援」という言葉があるからその支援を受けることに対応する言葉ということで受援と考えられているわけである。このように「支援」と「受援」は対になる概念である。
被災地に対してどうすれば迅速で適切な支援ができ、復興につなげられるかを考えながら動くことが必要不可欠となる中で、当然のことながら「支援力」の高さが重要となってくる。では支援力が高いとはどういうことなのか。単に支援をするスピードが速いことが支援力が高いということになるのか、それとも仕事量を多くこなせば支援力が高いと言えるのか等、どのような要因が支援力の高さにつながるのか、マクロな視点からじっくりと検討されることはあまりないかもしれない。今後、災害が発生した場合を想定して、とくに行政自治体としては総合的な観点で、受援力とともにさらに支援力についても考えていかなければならないだろう。
災害時において被災地域に対する自治体の支援力と災害ボランティアの支援力とでは、質的にも内容的にも異なるものであると考えられる。この異なる支援力を受援側の自治体がどう活かすことができるかによって支援をさらに効果的なものにできるかということに影響してくる。
よって、本研究では受援力について検討していくとともに、その対概念である支援力についても検討し、両者の関係性を考えていくことで受援力についての理解も深めていくことができるだろう。