3−2.情緒的絆群


   情緒的絆群は,「存在の全的受容・非代替性」の平均値がすべての群の中で最も高く,「社会的圧力・無力感」「永続性の観念・集団志向」「物質的依存・効率性」が全体平均を下回っている群である。中でも,「社会的圧力・無力感」は平均値がすべての群の中で最も低い。特徴として,子どもは両親の関係は信頼や愛情を基盤とした相手への人格的な評価や情緒的な繋がりによって結婚生活を継続していると認知していることが挙げられる。つまり,相手と一緒にいたいから一緒にいる,ということであろう。そのため,諦めで一緒にいる,家族のために一緒にいる,利便性のために一緒にいる,といった配偶者の人格的な評価以外を求める尺度においてすべて全体平均を下回ったと考えられる。  

  情緒的絆群は笑いに対する意識のすべての下位尺度の得点,「アサーティブ」が非関与群を上回っており,「声を出して笑う・心理社会的効果」と「アサーティブ」は形骸的関係群よりも得点が高く,さらに「アグレッシブ」は非関与群・実利的関係群よりも低い得点を示していた。この群は夫婦関係が良好であることから家族のコミュニケーションが頻繁にとられており,凝集性の高い家族であると考える。そのため,「他者への思いやりが込められている」「コミュニケーションを促進する」「親密になれる」といったような笑いに対する意識に含まれる行動が普段から家庭内で行われていることが予想される。「アサーティブ」には,「誤解をされたら解けるように話をする」「何かを頼んだり助言を求めたりする」といった因子が含まれており,これらも家庭内のコミュニケーションにおいて行動として現れる機会が多いことが予想される。つまり以上に挙げた尺度は,夫婦がお互いに無関心であり,家庭内で必要以上のコミュニケーションがとられていないであろう非関与群と比較し,夫婦仲が良好で十分なコミュニケーションがとられており凝集性の高い家庭環境であろう情緒的絆群が高い値を示したと考える。「アグレッシブ」は,自分の意見を無理やり通すという内容が含まれていることから,凝集性が高くお互いを思い合っている家族において「アグレッシブ」のスキルを使用することは考えにくい。そのため他の群に比べて低い値を示したのだろう。

  



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