3−3.実利的関係絆群


  実利的関係群は,「存在の全的受容・非代替性」「社会的圧力・無力感」「永続性の観念・集団志向」「物質的依存・効率性」すべての下位尺度が全体平均を上回っており,中でも「永続性の観念・集団志向」「物質的依存・効率性」の得点が高い傾向のある群である。特徴として,相手に対する人格的な魅力も感じているが,それよりも家族の分裂を避けたいことや子どものためにという思い,更に一緒に過ごすことによって得られる利便性といったメリットのために結婚生活を継続していることが挙げられる。つまり,相手のことは信頼しているし人格的な評価も高いけれど,惰性も感じており,それ以外の理由の方が結婚生活を継続している理由として大きいといった群である。そのため,すべての下位尺度が全体平均を上回ったのだろう。  

  この群では,「アグレッシブ」の得点が情緒的絆群と比較して高い値を示した。理由として,相手を思いやるよりも家族のためといった建前など相手以外の理由が大きいことから夫婦間のコミュニケーションがあまりとられていないことが考えられる。そのため,家族の凝集性としては高くならない。相手を思うよりも自分のことを優先してしまう傾向があることが考えられるため,家庭内のコミュニケーションは自分の意見を優先して発言することが多くなるのではないだろうか。そのため,「アグレッシブ」の得点において夫婦がお互いに信頼し良好な関係である情緒的絆群よりも高い値となったと考える。

  



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