2.友人・友人集団との関係,友人集団の構成人数と心理的居場所感
一対一で付き合いのある個人友人との関係,複数人で構成された友人集団との関係性,そして,友人集団の構成人数それぞれと心理的居場所感との関連をみるために,個人友人との関係・友人集団の関係性・友人集団の人数それぞれを独立変数にして,心理的居場所感を従属変数に1要因分散分析を行った。
個人友人・友人集団の関係は,該当者の少なかった「アルバイト先」と「その他」を除いた「学部・学科」と「サークルや部活等」の2つの関係を取り上げ,比較した。個人友人との関係と個人心理的居場所感において,有意差は見られなかった。友人集団の関係と集団心理的居場所感においては,心理的居場所感の下位尺度「役割感」においてF(1,173)=4.52,p<.05の有意差がみられた。関係ごとの平均値を比較してみると,「学部・学科」が2.59,「サークル・部活」が2.84となり,「サークル・部活」での関係の方が強い得点を示した。岡田(2009),部活動に参加している生徒は部活動に所属していない生徒と比べて学校生活の様々な側面においても良好な状態にあり,部活動内で友人関係を形成しやすいと述べているように,同じ趣味・趣向同士の集まりやすい部活動やサークルでの友人関係の形成は自然と成されやすく,そこでの心理的居場所感も獲得しやすかったのではないかと考えられる。また,「サークル・部活」という,一緒になって活動したり,同じ目標に向かってみんなで取り組んだりする友人関係において,その場で自分自身の「役割感」を感じられることは,居場所を感じる上で,特に重要な要素であると予想できる。これらのことから,仮説3は一部支持された。
次に,友人集団の構成人数と心理的居場所感の関係について検討した。友人集団の人数と集団心理的居場所感においては,心理的居場所感の下位尺度「安心感」においてF(2,187)=5.52,p<.01の有意差がみられた。そして,多重比較によって得られた結果から,3〜5名より6〜9名,3〜5名より10名以上の方が集団安心感に強い影響を与えていることが示された。集団人数の多い方が心理的居場所感の下位尺度「安心感」に強い影響を及ぼすことから,仮説4は一部支持されたと言える。
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