4-4.自己呈示の動機について


 Leary, Nezlek, Downs, Radford-Davenport, Martin, & McMullen(1994)は,相互作用場面における自己呈示の動機を測定するための尺度を作成した。自己呈示の動機には,「取り入り(Ingratiation)」「自己宣伝(self-promotion)」「示範(Exemplification)」「外見的魅力(adonization)」の4つの動機があるとされている。谷口・大坊(2005)はこの尺度を日本語に邦訳し,恋愛場面で異性に与えたい印象として「外見的魅力」「有能さ」「社会的望ましさ」「個人的親しみやすさ」の4つを見出し,日本の大学生を対象に,異性関係における自己呈示の動機について検討した。吉澤(2012)は,この日本語版尺度を用いて,一般的な他者に対する自己呈示の動機と賞賛獲得欲求・拒否回避欲求との関連について調査を行っている。この調査により,社会的望ましさ,個人的親しみやすさと賞賛獲得欲求,拒否回避欲求がそれぞれ関連していることが示されている。また,外見的魅力と有能さが賞賛獲得欲求と関連しており,また,賞賛獲得欲求が低い者は,拒否回避欲求の程度により,有能さを示したい度合が異なることが示されている。このことにより,賞賛獲得欲求・拒否回避欲求の高さにより,自己呈示の動機が異なってくることが示され,そのため自己呈示の方略も異なると考えられる。

 自己呈示は,様々な要因に基づいてなされる他者に向けられた人の社会的行動といえる。日常的には,人々は意識の強弱こそあれ,ごく当たり前に行っている行動である。また,どのような自己をどのような他者を対象にどのように見せたいかという観点から検討が行われている。



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