4-3.獲得的自己呈示と防衛的自己呈示
自己呈示は獲得的―防衛的という次元の分類も行われている。他者から受ける賞罰は相手が自分に対して抱く印象に左右されるため,相手の目に映る自分の印象を統制しようとする動機がしばしば喚起される。Arkin(1981)は,他者から承認を得たいという思いの中には成功を望む気持ちと失敗を恐れる気持ちが入り混じっていることに着目し,自己呈示のスタイルには獲得的(aquisitive)なものと防衛的(protective)なものがあるとした。獲得的な自己呈示とは,社会的承認や賞賛を得るために行う自己呈示であり,積極的に自己のポジティブな側面について主張したり,自己宣伝したりするといった行動である。また,防衛的な自己呈示とは,社会的損失を避けようとしたり,非難・否認を避けようとしたりする行動である。このような自己呈示の背景には,賞賛獲得欲求と拒否回避欲求が存在していると考えられる。
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