2.性差の検討
各下位尺度得点の性差を見るため被験者の性別に着目してt検定を行ったところ,『装いにおける流行志向』・『装いにおけるブランド志向』・『装いにおけるジェンダー志向』・『装いにおける個性志向』・《かわいくて女らしい自分》が有意であり,いずれも女性の方が得点が高かった。このことにより,女性の方が男性よりも流行やブランド,女性らしい服装への意識,服装による個性の表現への意識が高いことが示される。このような女性の方が男性よりも得点が高くなるという明白なジェンダーの影響については,先行研究でも同様の結果が示されている。
神山(1999)は,男子に憧れの仲間やヒーローと同じ被服を持ちたがるといった服装上の同調傾向があることから,男子にとって適切な被服行動のバリエーションの範囲が非常に狭いことを示している。その一方で,女子は男子よりも被服や外見に関する他者からの承認に関心をはらい,被服を自分やその独自性を表す手段として用いることを示している。このことから,女性の方が男性よりも,流行やブランドを取り入れた服装や,女性らしさを意識した服装,周りとは違うような個性が表れた服装などを選択することによって,自身が示したい自己イメージを周囲に示すといったように,服装を手段として用いた自己呈示を積極的に行っているのだと考えられる。
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