4.本研究で扱う否定的出来事


 立脇(2005)は13の否定的出来事を取り上げて質問紙を構成している。しかし,その中には関係崩壊につながるような項目や一般論的な項目が多く含まれている。本研究では,関係が崩壊するような大きな出来事ではなく,関係が継続する中での「些細な」否定的出来事に着目することとする。また,そのような些細な否定的出来事を感じた際の対処行動には恋人関係の関係性が大きく反映されるだろう。和田(2000)では恋愛関係進展度が用いられていたが,本研究では熱愛度を測定することとする。また,戸塚(2010)は,恋人にあってほしい肯定的特性を恋人が持っていなかった場合にどの程度嫌だと思うかについて検討している。その中で,全体の傾向としては,ある肯定的特性を持っていて欲しい程度(理想得点)が高ければその逆の否定的特性を恋人が持っていた場合の嫌悪の程度(嫌悪得点)も高いという結果になった。しかし,一部の項目では理想得点が高い一方で嫌悪得点は低いという結果になった。つまり,恋人がある肯定的特性を持っていて欲しい程度と恋人がある否定的特性を持っていたら嫌だと思う程度は必ずしも直結しないことを明らかにしている。つまり,「許容できる幅」のようなものがあることが推察される。本研究でも,その些細な否定的出来事をどの程度許容しているかという許容度によってもとる対処行動は変わってくることが考えられる。そのため,許容度を含めて検討していくこととする。



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